山野善正氏『食のネーミング』

  • 2016/10/20
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協会では、医師や専門家による鋭い視点で捉えた、健康と食に関する様々なコラムを掲載しています。今回は、一般社団法人おいしさの科学研究所理事長の山野善正氏に、「食のネーミング」について語っていただきました。

山野 善正Yoshimasa Yamano

山野善正一般社団法人おいしさの科学研究所 理事長
滋賀県生まれ。京都大学農学部農芸化学科卒業、農学博士。
東洋製缶東洋鋼鈑綜合研究所研究員を経て、香川大学農学部食品学科講師、助教授、教授。評議員、学生部長、農学部長。退職後2005年より現職。この間、アメリカ、オランダ、オーストラリアの大学で研究。専門は食品物理学。フィルム包装食品の加熱殺菌、食品コロイド、エマルション、テクスチャーについて研究。テクスチャーの研究で、食品科学工学会賞受賞。食品企業、化粧品企業等の顧問、種々の公的委員を歴任。また、民間時代レトルトパウチ第1号“崎陽軒のパック入りシュウマイ”の開発を担当。著編書にコロイド、テクスチャー関連専門書の他に、「おいしさの科学(編著)」(朝倉書店)、「おいしさの科学事典(編著)」(朝倉書店)、「おいしさの科学がよーくわかる本」(秀和システム)、「うどん王国さぬきのおいしさ」(おいしさの科学研究所)等がある。


「食のネーミング」

鳥類、イルカやサルなどの高等動物は、言葉らしいものを発するというが、しっかりとした意味を持つ言語を持つのは人類のみである。最初は、原始的な叫び声から出発したと思われるが、次第に多くの具体的な対象に対し、後には抽象的な内容に対する言語が生まれ、文章にまで達し、文字まで持つことになった。食材、食品に対しても、名前が付けられるが、現在では、商業的にネーミングが重要になっており、優雅な有声音や明るい無声音が着目されやすいと言われる。筆者がこどもの時に覚えたカルピスやコカ・コーラは無声音を有効に活用した典型である。大塚製薬が開発したポカリスエットはまさにこの部類に入り、おそらく50年は持続的に人口に膾炙するであろうと思われる。スエットは汗のことであるが、カタカナで表現すると、汗の嫌なイメージが消えているのである。見事のネーミングといえる。

(大塚薬報No.719より転載)

山野 善正

山野 善正一般社団法人おいしさの科学研究所 理事長

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滋賀県生まれ。京都大学農学部農芸化学科卒業、農学博士。
東洋製缶東洋鋼鈑綜合研究所研究員を経て、香川大学農学部食品学科講師、助教授、教授。評議員、学生部長、農学部長。退職後2005年より現職。

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