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「サプリメント健康事典」出版記念シンポジウムのご報告
- 2015/12/21
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「サプリメント健康事典」出版記念シンポジウムのご報告
2015年12月2日、『サプリメント健康事典』の出版記念シンポジウムが、神保町の学士会館で行われました。当日は、企業関係者やマスコミ、業界紙、健康情報関連の70名余りの方々にご参加いただきました。
43年ぶりの食品表示法の改正で、パッケージにある程度の機能性が謳えるようになるということで活気が見えてきた健康食品ですが、まだいろいろな課題もあるこの機能性表示食品制度について、医療分野、メーカー、販売者など、それぞれの視点からの意見を交わし、消費者の信頼に足るより良い市場とはどうあるべきかを考える機会として、このシンポジウムを開催することになりました。
本来、食品にはさまざまな機能性が備わっています。それが体の構造・機能にどのように作用するかを伝えることが、国民の健康維持・増進に役立つのであれば、これは国民にとっての利益です。
しかし、望むべく制度ができて、伝えたいことを表現できても、それを受け取る側が適正に理解し、上手に活用できなければ、絵に描いた餅になってしまいます。
今制度のモデルとなったアメリカのDSHEA(ダイエタリーサプリメント健康教育法)を改めて見れば、「教育法」という言葉にあるように、消費者の知識と情報リテラシーの向上が大切で、それが市場を拡大させた大きな要素だということがわかります。
そこで、消費者のための知識と情報提供を、中立性をもって、わかりやすく伝えるために本書が生まれました。本書の作成に当たっては、今日、登壇される先生方を含め、12名のご専門の先生方に多大なるご協力をいただきました。感謝の思いを込めて、ご紹介します。
基調講演動画
森下竜一先生による、基調講演「機能性表示食品 ― その活用とビジネスへの展開」の様子です。
板倉弘重先生による、基調講演「食品の機能性研究の今後」の様子です。
堀江重郎先生による、基調講演「医師から見たサプリメントの活用」の様子です。
関口洋一先生による、基調講演「2年後の制度見直しに備えて、今、企業がなすべきこと」の様子です。
シンポジウムテーマ:
「消費者に支持される商品のあり方を考える」
パネリスト:
天ケ瀬晴信、板倉弘重、関口洋一、堀江重郎、森下竜一、横田敏
本来、食品にはさまざまな機能性が備わっています。それが体の構造・機能にどのように作用するかを知ることが、国民の健康維持・増進に役立つのであれば、これは国民にとっての利益です。今回の機能性表示食品制度が、確かな国民の利益となるためには・・・・
■科学の進歩で食の機能性がわかるようになったとともに、これまで見えなかったリスクも見えるようになった → 食のリスクに対する警戒感も強くなっている → 過度な警戒感による市場へのダメージもある(たとえば、WHOによる加工肉の発がん性報告)→ TPPによる輸入食品への警戒感の高まり → こうした現状を踏まえて、今、消費者に支持される商品情報のあり方を考えてみたい
■「健康食品」のイメージを聞いたアンケート調査(平成24年、3万人)で、「行き過ぎた宣伝・広告が目立つ」(49%)
曖昧な表現や誇大なイメージで伝えようとし、消費者をミスリードすることも → 健康食品への不信感につながる → そこには、法規制を知らない消費者の情報不足も → 今回の法改正は消費者に伝わっているか?
ポイント1:機能性関与成分としての作用機序や、定量、定性確認が不可能なものには適用されない今制度の見直しに向けて
× ハーブ系、漢方系(イチョウ葉、エキナセア、朝鮮ニンジン)は?
× 食品系(黒酢、ニンニク、大麦若葉)は?
(パネリスト:関口洋一)
ポイント2:品質や安全性は、消費者から見えにくい
- 米国ではDSHEA制定後13年経過した後にようやくcGMPを義務化し、ダイエタリーサプリメントの定義を定めた → 品質管理の義務化には時間を要した
- 当時、メディアの報道が、消費者の理解促進と市場拡大に大きく貢献した → それにより市場には多様な製品が出てきたが、中には、安全性が不十分な製品もあった → 当初、好意的だったメディアもこうした商品に疑義を唱え、例えば、コンシューマーレポートも、サプリメントを含む代替・統合医療について、疑問を投げかかるようになる → 日本はこうした米国の軌跡から何を学べるか?
(パネリスト:天ケ瀬晴信)
ポイント3:機能性の科学的根拠は信頼できるか?
レベルがばらばらという指摘がある(対象者の人数が少ない、摂取期間が短いなど) また施行後1年は研究計画の事前登録が省略できるという企業メリットも・・・
エビデンスに病者のデータが使えないことをどう見るか
(パネリスト:森下竜一)
ポイント4:サプリメントは観察研究がなじむのではないか(健康の維持増進や疾病予防の検証を臨床研究で行う限界について)
食品の機能を、RCTのような手法でジャッジできるのか、という疑問もあるが・・・
薬との相互作用の問題も
- 「健康食品」の利用に関する実態調査(1万人)で利用目的に「病状の改善」と回答した人が11%
- 利用者のうち34%は、病院の処方薬と併用している
- とくに生活習慣病では46%
- さらに70代では、約3分の2
- 併用者にうち8割は医師から健康食品のことを聞かれていない
(パネリスト:板倉弘重、堀江重郎)
ポイント5:消費者のリテラシーは?自己責任の意識は?売り場のアドバイザーの役割は?
(パネリスト:横田敏)