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山野善正氏『筆者の飲酒のための料理』
- 2017/1/27
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協会では、医師や専門家による鋭い視点で捉えた、健康と食に関する様々なコラムを掲載しています。今回は、一般社団法人おいしさの科学研究所理事長の山野善正氏に、「塩の食文化」について語っていただきました。
山野 善正Yoshimasa Yamano
一般社団法人おいしさの科学研究所 理事長
滋賀県生まれ。京都大学農学部農芸化学科卒業、農学博士。
東洋製缶東洋鋼鈑綜合研究所研究員を経て、香川大学農学部食品学科講師、助教授、教授。評議員、学生部長、農学部長。退職後2005年より現職。この間、アメリカ、オランダ、オーストラリアの大学で研究。専門は食品物理学。フィルム包装食品の加熱殺菌、食品コロイド、エマルション、テクスチャーについて研究。テクスチャーの研究で、食品科学工学会賞受賞。食品企業、化粧品企業等の顧問、種々の公的委員を歴任。また、民間時代レトルトパウチ第1号“崎陽軒のパック入りシュウマイ”の開発を担当。著編書にコロイド、テクスチャー関連専門書の他に、「おいしさの科学(編著)」(朝倉書店)、「おいしさの科学事典(編著)」(朝倉書店)、「おいしさの科学がよーくわかる本」(秀和システム)、「うどん王国さぬきのおいしさ」(おいしさの科学研究所)等がある。
「筆者の飲酒のための料理」
筆者は何の因果か、アルコール飲料が大の好物である。一年に1日か2日、ノンアルコールデーがあるかないかである。休肝日など考えることがあっても、すぐに頭から消えてしまう。また、世界の窮乏を救ったというジャガイモが大好きな人間である。そこで、いつの間にかつまみのためのジャガイモを使った手料理を覚えたのでいくつか紹介したい。
1.玉ねぎポテトサラダ
適当量のジャガイモの表面の土を落とし、皿に載せ、ラップをして電子レンジで軟らかくなるまで加熱する。本当は、少々時間を要するが、湯でゆでるとまんべんなく軟らかくすることができる。皮をむきボールに入れておく。適当量のベーコンを細かく切りフライパンなどで、お好みの程度(できればからからになるまで)加熱する。一方、玉ねぎを薄めに切り冷水に浸漬しておく。これら3種類の材料に適当量のマヨネーズを加え混捏すれば完成である。このポテトサラダの特徴は、あまりいろいろなものを加えないことと、玉ねぎをたっぷり入れることである。ジャガイモの品種により食感や色が異なるが、必ずしもホクホクの男爵薯でなくても、別の食感を楽しむのも一興である。また、材料はすべて適当量と書いたが、これがミソで、毎回異なる、味と食感を楽しめばよいのである。
2.あさりの酒蒸し
皮をむいたジャガイモを薄切りにし、たっぷりのバターを加えてフライパンで炒める。ある程度炒めたら、きれいにしたあさりをぶち込んで、その上に日本酒をたっぷり注ぎ、蓋をしてじっくり炒めるとでき上がりである。
ちなみに、読んで損をしないジャガイモの本を下に示した。
じゃがいもが世界を救った―ポテトの文化史
ラリー・ザッカーマン著、関口篤訳、青土社、2003
ヨーロッパ、特に北の方は土地がやせていて穀物が穣れにくく、食糧飢饉に見舞われることも多かったのであるが、ジャガイモがそれを救ったというわけである。この著者は、たとえば、18~19世紀にかけて、アイルランドの人口はほぼ倍増した。また、1800~1850年の間にイングランドとウェールズでは、10年平均で15%ずつ人口が増加したという。あくまで状況証拠であるが、これはジャガイモを栽培したからだといいたいのである。
ジャガイモとインカ帝国―文明を生んだ植物
山本紀夫著、東京大学出版会、2004
京都大学農学部出身の著者はアンデス、アマゾン、ヒマラヤ、チベットなどの農耕文化を調査した。その結果、アンデス文明はトウモロコシとともに発展したという定説に異議を唱え、ジャガイモの重要性を唱えている。
(大塚薬報No.722より転載)